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P探偵のアルペンサウンドはスイスアルプスのサウンドのように思われます。 つまりSchweizer
Oergliのサウンドで、これはもっぱらトレモロが無いのがふつうなので、P探偵のアコのようにM,MM、MMM、LMMMH、どれを弾いてもトレモロが無いフラットチューニングのアコでスイスの音楽を弾くとまさにぴったしスイス風に聞こえます。 ところで、演奏、お見事! イタリアンスパイがスイス人になりきっている感じです。 スイス警察に尋問を受けて、スイス名物の食いものは何かと訊かれて、ピッツァ! とさえ、答えなければ大丈夫だ。 ところで、アルペンサウンドをひとくくりにしようとすると、たしかにP探偵ご指摘のように、古いものを頑迷なまでに残そうという考え方が強い「共通点」をもつアルペン民族ながら、スイス流とオーストリア・スロベニア風をいっしょくたにしようとすると、当時のオーストリア(ハプスブルグ)の(スイス側からすると)悪代官と(オーストリア側からすれば)ハプルグルグの支配を拒む逆賊のヴィルヘルム・テル(英語読みでウイリアム・テル)との戦いにような話に発展しかねない。 Rossini
William Tell Overture, Riccardo Muti
http://www.youtube.com/watch?v=6TOW_4TXJ2Q 一方、悪者扱いのオーストリア側やスロベニアサウンドはSchweizer
Oergliサウンドは全くと言っていいほど異なり、トレモロ、それもMMMのトレモロがやさしいトレモロで、いわゆる耳に痛いほどのいわゆるミュゼット風のトレモロともまたちょっと違うトレモロがあり、これがまた頑迷なまでにKeepされているのです。 で、そのアルプスの南斜面のスロベニアをさらに南下すると、お隣がクロアチア、さらに南下すればボスニア・ヘルツェゴビナと来るわけですが、ここまでくるとトレモロは一切消えて、フラットチューニング、それもLだけで演奏するとかMだけで演奏するバルカン風な音色にどっぷりと囲まれていることがわかる。もっとも、歌い方は低めで大き目のビブラートたっぷりと利かせたアラブのイスラムのサウンドになっていく。 そこまでいくと、もはやアルペンサウンドでは無く、バルカンサウンドになっていってしまうが、もっとも、バルカンの人たちを一派ひとからげにしようとすると、旧ユーゴのごとく、内情はまたまた大きく地域地域で別々の文化、音色があることがわかり、そこの地方の人たちも、一緒にしてくれるな!と主張始めるので、バルカンサウンドといっちゃった私をお許しください。 で、スロベニア、ないしSteyrischサウンド、ないし、オーバークライナーサウンドと言われるのはアルプス連峰の東南一帯に共通とおぼしきやさしいトレモロを持ったアコ、というよりはむしろSteirische
Harmonikaのサウンドのことをさし、スイスのエルグリとはまったく異なるサウンドなのです、多分。 この地方の曲をP探偵のアコで弾くとどうなるかなぁ? 小生の感じでは、Steyrisch
Harmonikaで奏でる音楽にはどちらかと言えば伸びやかでゆったりしたテンポの曲が多いので、その伸ばしている音にやさしいトレモロが入っているとなんともいい気分になるし、そのトレモロを味わうことができるのにくらべ、トレモロが無いシュヴァイツゥアー・エルグリはどちらかといえば今回のP探偵の名演奏のようにスピードの速い指の動きで奏でる音楽が多いように感じられます。 このように早い指の動きの演奏にはトレモロの音色は邪魔になり、すっきりした単音が歯切れよく響くほうが似合っていると感じるは、そのスイス風の曲がどれを聴いてもそうだからなのかも知れませんが、実際にそのような曲が多いように思われます。 そんなエルグリサウンドのP探偵のアコでスロベニアの曲を演奏するとどうなるのだろう。 Steirische
Harmonika - Kreuzgriffiger
http://www.youtube.com/watch?v=JVdtcUberVw&feature=related もっとも、スロベニアの曲がゆったりとした曲ばかりでないことは訂正しなくてはならないだろう。
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