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イタリアでは週末までアコーディオンメーカーを訪問するなどして、あと数社寄る予定だったが、週末をまたずして、金曜日の午後3時半になぜか操縦桿を北に向けてルノーClioを発信させてしまったのは、急にスロベニア・サウンドがアコーディオンが聴きたくなってしまったためだ。 スロベニアは旧ユーゴスラビアのチトーの独裁共産主義のもと長くつらい時代が続いたが、かつてはハプルグルグ家のハンガリー・オーストリア帝国に併合されたりもした。 本来は小さな独立王国だったこともある。 それがチトーが倒れて、クロアチアなどとともに独立。 現在はEUのメンバーで通貨はユーロだ。 そんなスロベニアを見たかったのだ。 もちろんスロベニアサウンドも聴きたい。 さて、レンタカーについているカーナビで探そうとするが、スロバキアはでてくるがスロベニアはまだサポートされていない。 地図も無い。 時間も無い。 考えているより行動が先、でいつも失敗する私の頼りない旅の始まりだ。 イタリアのAnconaに近いCastelfidardoを出たのは金曜日午後3時半。 そろそろラッシュアワーだ。 さすがに高速も満員だ。 数珠繋ぎ状態でも皆さん飛ばすこと。 Ancona、 Rimini、 Bologna、ときて、PO河を過ぎるあたりの大平原は例のシルバーナ・マンガーノ「苦い米」の舞台だ。 お父さんたちの憧れの女優の一人だったかな? そんなことを考えているうちにVeneziaの手前で大渋滞。 行く手には暗雲が立ち込め地上に落雷が続いている。 渋滞にはまって、2時間近くロスするあいだに、空は暗雲に立ち込められ大粒の雨が降り出し、やがては車軸を流さんばかりの大雨が夜中まで続く。 地図無し、どんどん狭くなる濡れた高速道路は真っ暗でよく見えない。 それでもイタリアの東のはずれTriesteまで到着。 時計はすでに夜の11時。 500kmに6時間半かかっている。 さて、これからスロベニア、目指すはとりあえず首都のLjubljanaだ。 幸い高速の標識があり、旧国境も今はパスコントロールもアットランダムに行う程度。 午後11時半には入ったぞ〜! は、いいんですけど、Hotelの予約もない。 Sloveniaに入ってすぐ道路は山道となる。 そこには谷間ごとに山姥の白髪のごとき深い霧がす〜っと目の前に飛び込んでくる。 一瞬にしてミルクの中に飛び込んだ感じといえばいいんだろうか、何も見えない。 時速は100km以上でている。 これ、かなり怖い。 あわててブレーキを踏むと、後ろからトラックのライトが急に近づいてくる。 これもかなり怖い。 仕方なく、何も見えないけど、かなりの高速で走るほかの車のお尻について盲目爆走。 これかなり危険。 これやめましょうね。 やがて、深い霧はたらいをひっくり返したような集中豪雨に変わり、なんとか前が見えるかなと思うとこれも見えない。 ワイパーを最速にしても見えない。 くたくたになってLjubljanaに到着してみれば、金曜日の夜、ホテルはどこも満員。 たらいをひっくり返したような雨の中、1センチ以上もある道路の冠水を靴下もびしょびしょ、髪の毛びしょびしょになりながら部屋を探すがだめ。 市内をあきらめて郊外にホテルを求めて向かう途中で幸運にも1部屋空きがあるホテルに投宿。 就寝午前2時でした。
今朝は、低気圧去って、青い空、白い雲、さわやかな高原の空気と風。 さぁ、今日は車でFrankfurtへ帰る道すがら、ちょっと立ち寄っただけの町だけど、ちょっとだけ市内見物してスロベニア・サウンドのCDでも買って出発だ、と街にでてみれば、市内を流れるLjubjanica川の両岸はロマンチックなたたずまいの建物にはりだしたテラスやいす・テーブルに人々が朝のコーヒーを飲みながら新聞を読んだり、談笑したり、風に吹かれて気持ちよそうにしている。 とても絵になる風景・風情。 教会や街内、川岸などを写真におさめて、アイスクリームスタンドでそれはそれはおいしいアイスクリームをなめながらあるいていると、なんとどこからか、かすかにかすかにアコの音が聞こえてくる気がする。 それで、耳をすませてその方向を見やると、そこは街の広場で、そこには市が立っている。 その市の一角でどうもアコ弾きがいる様子。 人を掻き分けながらすすむとだんだんとメロディーがわかってきた。 そして、一瞬、稲妻に襲われたような感動を覚えたのはなぜかといえば、それはほとんどSloveniaの第2の国歌ともいえそうな、Lojze
Slak楽団の V dolini tihiだったのだ! その曲でアコの場所がわかるなんて、ウッ、ウッ、泣きそう。 歌っていたのはアコ一人、ギター二人の若者のグループだった。 StyrischアコはLanzingerほか3台を弾き分けていた。 すばらしい演奏だ。 まさにスロベニア・サウンドだ。 これを聴きにきたのだ。 それが聴けたのだ。 ヒデキ感激〜! ヒロシ還暦〜! デジカメのムービーにとりました。 映像はあまりよくありませんが、音は大丈夫なはず。 帰国後You
Tubeにアップしますね。 いや〜、感激だった。 思わず演奏後、グループのアコ弾きに近づき、あなたのファンです、日本から来ました、みたいなことをいっている私。 なかなかの好青年で馬力があり、演奏・歌ともに立派だった。 CDを出す予定とのことだったので、出たら教えてくれと頼んでおきました。 さて、昼飯時となり、ホテルで聞いた、夜にはアコ演奏があるというレストランにいった。 Sokolという店でした。 店員に聞いたら、アコ演奏、そんなものやったことない、とつれない返事。 で、仕方なくビールを頼むと、出てきたのが「Sokol」というラベルのビール。 自家醸造とのこと。 で、これが飛びぬけてうまい。 で、耳をすますとなんと、聞こえてきたのはTurbo
Engelesのおなじみの曲だった。 食べたのは豚の胃袋の煮込みとポレンタ。 なかなか親しみのある食べ物ですが、気持ち悪いと敬遠する人もいるのは世の常。 私は味わって楽しんじゃいましたけど。さて、腹ごしらえもできたので、再度、広場のアコを聞きに行く。 アシスタントの女性がこれまた飛びぬけた美人だったので、演奏のMovieをとりながら目線はどうもそちらに流れ勝ち。 還暦を迎えても男はやはり男なんですね。 そういえば、Ljubljanaは美男・美女の宝庫だなぁ〜。 それが滞在を伸ばした理由ではありませんが、街を歩いていてもなぜか心がうきうきするのはそのせいもまったくないかといえばうそになる。 もっとも、美男にはあまり興味ありません。 念のため。 さて、次はCDだ。 ホテルで聞いた場所にはCD屋はありませんでした(どうもHotel情報には問題があるなぁ)が、その近所にあったので許す。 そこで、スロベニア・サウンドのアコのCDをください、というと、この辺にあるわよ、と女店員がいうので、じゃ、それ全部、と注文すると、あんた、気〜狂ってんじゃないの? と彼女に顔に書いてありました。 が、買いました、31枚。 Atomik
Harmonikも一枚だけありました。 他のは売り切れ。 DVDは無し。 もう一件CD屋を見つけました。 なかなか美人の店員さん(また女性のことばかり見ている。 美人だと呼び方が変わるのに気づく私)に、あの〜Atomik
HarmonikなんてグループのCDありますか? とおそるおそる聞いてみると、あーら、なんでそんなナウいものご存知でいらっしゃいますの? なんて、微笑みをくれるので、顔がくすぐったい。 いや〜、あ、なんと答えたか覚えてません。 それで、Turbo
Angelesなんかもありますか? と聞いてみると、また、その美しい顔をさらにやさしい微笑で満たして(どうして、美人には表現まで変わるんだろう)、まぁ、そんなグループまでどうしてご存知なの? なんて、驚いた顔をして僕の目を覗き込んでくれるので、夢かまことかほとんど状況把握困難状態。 それは売り切れです、の言葉で現実に戻る。 それでも、そんな趣味の音楽がお好きでしたら、こちらもお勧めですとCDを5枚だしてくれるので、はい、全部いただきます、とCDも見ずに彼女の目を見ながら話している私。 聞けば、もと、当地に来ていた日本人整体師のところで仕事をしたことあったが、法律変更で整体では営業ができないことになり、彼は泣く泣く日本に帰国したとの話でした。 カードで購入するとき、オナマエワナンデスカと片言の日本語で言ってくれて、もう抱きしめたいほど好感をもちましたが、さようなら、楽しい時間をありがとう。
そして、明日はいよいよ延ばし延ばしにしていたアルプス越え。 VillachからKaravankelトンネルをぬけ、Salzburgに入り、ミュンヘン、ニュルンベルグ、ヴュルツブルグ、とこえて、Frankfurt郊外のワインの産地、Hochheim
am Mainに投宿予定だが、一日で走れ切れないときは予約してあるフライトは僕をおいて飛び立つことになる。 そのリスクを犯してしまった私。 それをさせてのはLjubljana、スロベニアサウンドです。
http://www.youtube.com/watch?v=an6gmn-qiF4&mode=related&search=
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