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頼もしい技術力ですね  投稿者: yoshi  投稿日: 6月 6日(月)19時04分23秒
日本は、だんだんと修理をなさる方が減っているときいていましたが、チェコでは職人が脈々と育っているんですね。手工業の基礎的な技術力は、様々な産業の底力となるのではないでしょうか。日本の将来が心配です。中古アコーディオンのご紹介楽しみにしております。

Deliciaおまけ情報  投稿者: 川井 浩  投稿日: 6月 5日(日)15時44分21秒
チェコのDeliciaを作るメーカーの正式名称はAkordeon Serviceといいます。もともとDeliciaのEngineerだった現在の社長は飛びぬけた人脈と成功したOEMビジネス(下請け生産)の持ち主。実はひどく破損した中古のDeliciaのバス側のリードセットを持参して修理を依頼しました。 リードフレームが半分(10数本)はがれてしまい、どこにつけていいかわからなくなってしまったからです。 夕方あずけたら翌朝には完璧にオーバーホールされほぼまっさらの新品となって戻ってきました。 それもリードフレームをすべてはずし、バルブを全部付け替え、完全調律し新品同様に直してもらいました。すごい技術力。 そこで、もしやと思い、その技術力を生かして下取りとかしたアコを再生して販売する気はありませんかと聞いたら、実際にそれはやっているとの回答! やったぁ、これは面白い。 どのようなモデルになるかはわかりませんが、常時20台程度は再生アコがあるとのこと。 同社にて再生・調律した中古アコであればさらに安心してお勧めできる中古アコの仕入先が増えることにもなる。 これはもしかしたら今回の出張の最大の成果かもしれない。 詳細わかり次第、またアップいたします。

Lanzingerおまけ情報  投稿者: 川井 浩  投稿日: 6月 5日(日)15時35分18秒
Lanzinger社のアコがドイツ語圏を中心にヨーロッパで急速に人気を集めている背景にはプロを中心としてLanzinger社製アコの品質とサポートに高い評価があるためだ。その高い評価の背景として、もともとプロのアコ演奏家である彼がデザイン、生産、品質管理に厳しい目で携わっていることがあげられる。この厳しさは彼がスロベニア人であるということと関連がある。スロベニアといえば旧ユーゴスラビアから独立した小国であることはご存知だと思いますが、このスロベニアは、現在Lanzinger社があるイタリーの南チロルとともに旧オーストリー・ハンガリー帝国の一部であったこと、またその地方の第一言語がドイツ語であることにも関連する。 当時のオーストリー・ハンガリー大帝国のサラエボで皇太子がテロに倒れたことから第一次世界大戦の火蓋がきって落とされたことは学校でならったと思いますが、戦後オーストリー・ハンガリー帝国は領土を大幅に失い、現在のオーストリアとハンガリーとして存続していますが、南チロルはイタリアに、スロベニアはユーゴスラビアに割譲されてしまった悲しい過去がある。 割譲されてしまったところに住んでいたドイツ語を母国語とする民族はその後、それぞれの新しい国の中で少数民族としてけっこうつらい立場で長いこと過ごさなくてはならなかった。 なにがあっても結局、どうせお前らはドイツ人だからな、と仲間に入れてもらえないのだ。 その分、やはりドイツ人気質を持ち続け民族としての誇りを失わずに今日まで独自性を維持している姿には、文化とは何かという基本的命題に対する問いかけを突きつけられたような衝撃を受ける。 イタリーでも今日の産業の基幹をなすのは北イタリーであるように、旧ユーゴスラビアでもオーストリアの隣にあったスロベニアは経済的にも産業的にも高い地位を築いていた。 イタリアでも旧ユーゴでも南が常に問題児となっていることはご存知のとおりで、気質からくるこの違いはどうしようもない。 大きく寄り道した説明になってしまったが、Lanzinger社をドイツのアコーディオンメーカーと思っている一般ユーザーもかなりいるようで、これはドイツという品質にうるさい市場で成功するためのものづくりができているという証拠のひとつともいえるようだ。もちろんTV、CDなどにでてくるプロの演奏家がLanzinger社製のアコである場合がかなり増えてきているということも成功の秘訣であるが、それもやはり品質に対する信頼度からきているものと思われる。Lanzinger社長の発言からもイタリアではいいアコは作れても、最終的には自分がチェックしないと出荷しない。 ドイツなどの厳しい市場では細かいミスも許されないためだ。 確かに今回レンタカーを借りるときメルセデスのAクラスを当初借りたが、チェコやイタリアに行くと言ったら、禁止された。 やむなくイタリーのアルファロメオに借り替えた。 これならチェコでもイタリアでもいっていいと言うのだ。 アルファロメオだって200kmも出るしいい車だけど、チェコや東欧、イタリアなどでは盗難にあうのはドイツ車が中心だ。 車にしてもドイツ製に対する周辺諸国や車泥棒の評価ははっきりしている。 製品には品質の違いも価格の違いもあるということを改めて認識した次第です。 性能は十分いいアルファロメオでもいいけど、ちょっと高いけどさらに品質のメルセデスを買うか、これは個人の判断によるところだ。 ただ知っておくべきことは品質には価格があるということだ。

LanzingerのDiatonicアコ  投稿者: 川井 浩  投稿日: 6月 5日(日)15時05分42秒
Lanzinger社の売れ筋アコのひとつがこのアルプス・フォルクローレ・スタイルのDiatonicアコだ。 非常に小型軽量でありながら、リードはイタリー製のTypo A Mano(ハンドメイドタイプ)リードが使用されており、明るいアルプスの空のようにすばらしい音色であるのに加え、超大型ダブルリードのヘリコンバスユニットが組み込まれているため、腹にずしんとくるバスの音がでるのが特徴だ。 トレブル側の1列目のボタンはC(ハ長調)のハーモニカと同じボタンの並びだと考えると理解しやすい。 すなわちひとつのボタンを押して蛇腹を押すとド、同じボタンを押しながら蛇腹を引くとレ、同じ列の隣のボタンを押して、蛇腹を押すとミ、同じボタンを押したまま蛇腹を引くとファ、その隣のボタンを押して蛇腹を押せばソ、指はそのままで蛇腹を引けばラという具合だ。 指を3本並べてボタンを押し、蛇腹を押せばCEG(ドレミ)の和音だ。 指を4本なれべて、蛇腹を押せばセブンスの和音ができる。指3本のまま蛇腹を引けばDFA(レファラ)の和音、という具合。 このボタンをつかえばドイツ楽器展のアコーディオニストの演奏に近づくのもわけは無い(?)。 CD(コンパクト・ディスク)付きの教則本も紹介を受けたので、これも取り寄せてご紹介したく存じております。 日本ではどちらでDiatonicアコを教えているところがあるでしょうか? ご存知の方がいらっしゃいましたら教えてください。
ところで、昨日Lanzinger社長自ら優しく丁寧にDiatonicアコについて教えていただき、また実際に演奏していただきましたが、彼ももともとはボタンアコ奏者だったが、Diatonicアコは購入して独学で引けるようになってしまったといっていました。ボタンの数が少ないので、半音の多い曲などは演奏するのが難しいとかの制約がありますが、いわばCとFとBのハーモニカを手に持って曲を演奏すると考えればどの程度の曲が弾けるか想像していただけると思います。 Lanzinger社長との会談中、土曜日だというのにひっきりなしに彼の携帯にTelが入っていました。 Denis Novato、Franz Michelicなどの大物フォルクローレアコ奏者からの電話でした。 Lanzingerがこれらプロ・フォルクローレアコ演奏家達の全幅の信頼を享受していることは現場にいると肌で感じることが出来ます。これも貴重な体験でした。


Lanzingerはアルプスの香り  投稿者: 川井 浩  投稿日: 6月 5日(日)03時12分43秒
プラハ近郊のDeliciaとの会談後、ミュンヘン経由目指したところは650km、アルプスのブレンナー峠を越えてドロミテのSexten、Lanzinger社の本社だ。 社長のLanzinger氏がいつもと変わらず気さくに暖かく迎えてくれた。今回は同社のアルピナタイプのアコとDiatonicアコの発注のための最終打ち合わせ。オーク材のモチーフのボディにTypo A Manoの高級リードをつけ、キーボードはどこまでも演奏者の指に素直についてくるすばらしいモデルだ。もちろん音色は明るいアルプスの音色。バスはヘリコンバスでずんずんおなかに振動がつたわる迫力物。 Lanzinger社のヘリコンバスの特徴は普通のバスとの切り替えが出来ることで、これは他社にはないなかなかのメリットだ。 Lanzinger社長自らアルプスのフォルクローレを演奏していただいたが、気分はすっかりあかるいアルプスに抱かれていい気持ちになっている。 同時に同じくアルプスの香りたっぷりのデザインのDiatonicアコの紹介と手ほどきを受ける。これ見た目よりもかなり簡単そう。 あらためてDiatonicアコの手ほどきなどの本をご紹介したいと思っています。 日本にもすでにあるかもしれませんが。 小型のBodyながらしっかりとHelikonバスがついて、楽しそう! ドイツ楽器展のアコーディオニスト達のなかの若い女性の奏者が演奏する楽しい音楽はこの楽器です。 これもJAAのサマーフェスタに展示予定です。 是非みに来てください。 これ結構はまるかも知れません。

Delicia、Lignatone、Fantasy  投稿者: 川井 浩  投稿日: 6月 5日(日)02時58分5秒
チェコのDeliciaに関して詳しく聞くことができました。もとのDeliciaはチェコのエネルギー会社がオーナーであったが、経営の合理化が出来ないまま不採算が続いていた。現在のDeliciaの社長さんは以前Deliciaに勤めていたことがあるが、今から10数年前に独立し、アコーディオンのOEM生産や修理を行ってきた。 昨年末数年にわたり赤字が続いていたDeliciaを製造設備一式も含めそのエネルギー会社から買受け、その後、合理化とリストラを断行し、また、部品などをイタリーのアコーディオンメーカーなどにOEM供給するなどして黒字転換に向けがんばっているところ。 工場はかつてのDeliciaの建物をそのままエネルギー会社から借りて経営している。 よって、これまでのDeliciaブランドの製品の供給やパーツの供給にも問題がなく、むしろ新体制のもとNew Modelの開発にも意気込みが感じられる。 これまでのチェコ製リードを使ったDeliciaブランドのアコーディオンに加え、イタリー製のリードをつかったLignatoneブランドや、さらにはTypo A Mano(ハンドメードタイプ)のリードやA Mano(ハンドメード)のリードを使用したFantasyブランドも投入して、音質で負けない製品を競争力ある価格で、しかも欧州品質で出していくというのが同社の戦略だ。 上記のイタリー製リード以外は95%以上はチェコ製材料で、それもメカパーツは成型、板金、打ち抜き、木工、すべて自社の工場で製造しているのもひつとの特徴というか強みでもある。 社長さんは中国製のパーツは一切使用していないと断言していた。 実際にDeliciaの最新型モデル(チェコ製リード)を弾いてみたが、なかなか侮れない澄んだいい音をしている。 また、Fantasyブランドのイタリー製Typo A Manoタイプのリード付きでカソット(チャンバー)タイプのアコも試してみたが、これもしっかりチャンバーの音で、素性のいいリードが使用されていることが身体に伝わって来た。これは本当にあなどれない製品群に仕上がっているな、と感じました。 同社のWeb Siteはまだ工事中のため、詳細なモデル紹介ができるのは7月末頃の予定です。 JAAのSommer Festaには何点かお見せできるようにしたいと考えております。 ご期待ください。 

Pilsner Urquelle、にんにくスープ、マスのあんかけ  投稿者: 川井 浩  投稿日: 6月 3日(金)06時42分20秒
今晩の食事はプラハの郊外50km西にある街の田舎ホテルですが、ビールが例のPilsner Urquelle(ピルスナー・ウアクヴェレ)でこれがとびっきりおいしい。昨日までおいしいとおもったミュンヘンのビールがまったく意味のないもののようにさえ思えてしまう。 名前につられてとったにんにくスープがすごかった。 にんにくを包丁の横っ腹で叩き潰し、これを沸騰したブイヨンにぶちこんで、こんがりあげたパン切れを投げ入れ、パセリを浮かべて出来上がり。 味は、最高です。 値段は30コロナなので約140円。 ついでに今日はマスのソテーの野菜・きのこ・ハム入りあんかけ。 どでかいマスで肉もたんとついて食べがいがある。 これ750円。 プラハへの旅行は長期滞在でも高くない。 アコの価格も上がらないことを祈っております。

プラハの夏  投稿者: 川井 浩  投稿日: 6月 3日(金)06時27分9秒
チェコのアコメーカーDelicia社の社長、社長婦人、ご令嬢の3人との初回Meetingを終え、明日は本格的にアコの品定めを行うことになりました。楽しみです。 今日の会談が予定より早く終わったため、日が暮れる前に50kmの道のりを高速を飛ばしてプラハの街を散策しに出かけました。 プラハの夏はすがすがしい空気に包まれていましたが、あふれかえる観光客でごった返していました。 私が始めてプラハを訪れたのは1970年、プラハの春をソ連軍の戦車が無残に蹂躙した翌年ぐらいでした。当時はまだ銃弾の後が建物のそここに生々しく残り、人々もそれから長く続くであろう自由の無い、つらい時代を覚悟するかのように無言で、街も暗く沈んでいて、私も胸が締め付けられる思いでした。 35年ぶりにおとずれたプラハは見事に立ち直り、街は老若男女であふれ、観光客もわんさかきて、商店も活気があるように見えました。 当時は人影もまばらでいるとすればヤミ両替屋程度しかいなかった名物のカレル橋も今日はあふれんばかりの観光客と物売りで名物の橋の欄干の彫刻やカフカの小説のモデルにもなった城が見えないほどでした。
ナチの台頭や迫り来る迫害の不安をすばやく感じ取ったカフカの名作「城」や「変身」は彼がユダヤ人だったことが大きいが、このプラハという街のかもし出す雰囲気も一役買っているような気がします。 ベルリンでも感じたことですが、この平和が長く続くことを祈りたいと思います。 もしかして、今は、一部で戦争は続行しているものの、欧米、日本などにとっては第2のベルエポックとでも呼べる時代なのではないかと思えます。 日本の失業、経済不振、政治の空白、中国や北朝鮮の脅威などにいたずらに目をつぶることは避けたいが、過去の戦争や食糧難、疫病、建国への軋轢、などに比べれば今はすばらしい時代なんだな、としみじみ思えます。 当時のベルエポックが世界恐慌と、2つの大戦の間のごくわずかな時代で、なおかつ不安定な要素を内包していたことを考え合わせるとき、今の時代は、一部の戦闘地域を除き、いい時代であるといっていいのだと思います。もちろん、究極のいい時代とはお世辞にも言えませんが。 トーマスマンがベニスに酔ったごとく、今日は私はプラハに酔ってしまいました。 プラハの街を徘徊するうちに、この街の持つ魅力にどんどんひきつけられていく自分を感じます。 ホテルに帰って飲んだチェコビールがこれまた絶品、それもそのはず、かのPilsner Urquelle。 ビールにも心ごと酔ってしまいました。 さて、明日はまじめにアコの品定め。(続く)


アコーディオンから、  投稿者: yoshi  投稿日: 6月 2日(木)18時03分8秒
彷徨記、楽しみに見ています。アコーディオンという、一つのものも、深く関わっていくと、様々な人や国、歴史、文化、経済といろいろなものがみえてくるのですね。
その、物質面の、あるいは思考上のネットワークの広がっていく様が、伝わってきて気持ちよく、またわくわくします。気をつけて旅行されてくださいね。

ミュンヘンのアコ弾き  投稿者: 川井 浩  投稿日: 6月 2日(木)14時30分10秒
奈良のアコ弾き様、コメントありがとうございます。 ところで、いましたいました、ミュンヘンのアコ弾きが。本業の仕事はなんとか昨日で終わり、打ち上げというほどではありませんがミュンヘンの旧市庁舎のとなりのドイツレストランでアコーディオン演奏サービスをしているおじさんを発見。 アコはHohnerのAtlantic IV N。 写真を撮らせてもらおうと近づいたら、彼も大ハッスル、じゃかじゃか元気良く弾き出してしまった。 それまで誰が聴いてくれているか判らない状況のもとで、毎日の単純な連続作業に従事していた人が注目を浴びたときのやる気、アドレナリン、興奮はすごい。 火事場の馬鹿力だ。 もう、弾くは、歌うわ、ヨーデルわ。 普段、あんまり歌わないせいか歌詞はおぼろで、途中で怪しくなるものの、そこはヨーデルでカバー。 喜ぶ客がいれば演奏者も喜ぶ。 まさに音楽は世界のコミュニケーション。 ドイツ語が、あるいは日本語がわからなくてもアコーディオン語は通じる不思議さ! いゃーっ、音楽ってほんとうにいいもんですね。それではまたご一緒に楽しみましょ。さよなら、さよなら、さよなら....
今日は同行の社員をAirportに見送り、その後、チェコに車を走らせます。 どこにいくかというとお目当てはチェコのDelicia。 Excelsior倒産のあおりを受けて、Excelsior向けのOEM生産が途絶えたことによる連鎖倒産で昨年末倒産したDeliciaはその後アコーディオン修理会社であったAkkordeon Serviceにより買収され、再建されることになったので、これまでの製品のサポートも出来、本来の自社ブランドの販売で事業を継続することになったのは大変結構なことだと思います。 ヨーロッパの中国、裏庭、などと称される東欧の一角に昔ながらのボヘミアの伝統の手工業、木工、音楽、機械技術などのベースを生かした工業国で、最近ではVolkswagenの大工場もある同国の緩やかな発展を祈りたい。 ヒトラーのナチに蹂躙され、スターリン以来のロシアに蹂躙され、花咲こうとしたプラハの春のチャフラスフカさんやドプチェク氏が歴史上から抹殺された悲しい過去も思い出します。 その国のたたかれても負けずに立ち上がるアコメーカーDeliciaにもエールを送りたい。 どのようにやっていくのだろう。 同社はこれまでの国内調達のリードのほかにイタリー製リードもOptionで使えるようにするなど、西ヨーロッパをはじめ、再度世界のアコ市場に打って出る構えは十分。 どのような品質のものをどのような価格で出してくれるのか。 新会社の実力を見極めてきたいと思ってのチェコ行きです。 プラハの復活した姿を見る時間がとれるかどうか... またレポートします。