修理現場での独り言
年代物のアコーディオンは外観では年相応に年輪を重ねていて、人間同様ちょっとやそっとの整形手術では10代、20代の若さは取り戻せませんが、もともとちゃんと作ってあるものはメカの部分の手入れ次第で新品同様に生まれ変わります。 面白いのは、使って使って外観はぼろぼろのアコーディオンの方が、意外や意外、すべての音がきれいに正しくでたりする一方、大事にしまってあってほとんど使用されなかったアコーディオンの方が音が狂ったり、出なくなったりしていることが多いという事実です。 また、古いアコーディオンの中には現代のコスト最優先のマスプロ生産、プラスチック製パーツ多用のアコーディオンには無い本来の味が残っている場合もあります。 我々が子供だったころ、あるいは生まれる前の大人たちが弾いていたアコーディオンを今使いこなすなんてレトロな気分も味わえていいもんだと思います。 そのころに聞いたことのあるなつかしの名曲なども自然と流れてくるような気がしてしまいます。 ついでに古い映画の一場面なんかも思い出してしまいましょう。 でもそんなロマンチックな気分とは別に、アコーディオンのメカと正面から立ち向かうと、これはきわめて奥の深いサイエンスなんだとあらためて思い知らされます。